iriya_ufo’s blog

Curiosity was simply the first derivative of knowledge.

数学ガール

数学ガール (数学ガールシリーズ 1)

数学ガール (数学ガールシリーズ 1)

この本は"理系男子必読図書"である.
僕と,ミルカさん,それにテトラちゃんという3人が挑む数学はただ与えられた問題を決まりきった解き方で解くというようなものではない.
ときには知識をベースにして問題に取りかかり,あるいは力づくで解こうとする,またあるいは斬新なアイデアを元に問題と格闘する.
一つの問題を様々な角度からみる,するとその問題に隠れているいろんな宝物を掘り出すことができる.
本書はそんな宝物を僕,ミルカさん,テトラちゃん,の3人を通してたくさん見つけ出すことができる.
数学的内容で言えば高校生レベルの数学をきちんと理解していれば本書のすべてを理解できるはずだ.
だが扱っているものとしては母関数や離散数学,それにζ(ゼータ)関数まで,と非常にエキサイティングなものが多い.

ところでこの本を読んで自分の懐かしい高校時代を思いだしたので少し書いておく.
ちょうどこの本の第4章フィボナッチ数列に関する事だ.

当時高校1年で数列の一般項とか,それを求めるいろんな解法を学んでいる時期であった.
友人が,「フィボナッチ数列の一般項が求められた!」と言ってその解き方をうれしそうに背面黒板につらつらと書き始めた.
解き方は至って単純.フィボナッチ数列を階差数列から解く解き方だ.この解法はすぐに思いつくものだが実際にやってみると大変な事が分かる.何が大変かって,出てくる数式の計算が非常に面倒なのだ.
一般項まで解き終えた友人は満足していたようだ.
黒板には割と小さめの字で一般項までの導出計算がびっしりと埋め尽くされていた.本当に隅から隅まで….
僕はその導出までの計算過程を丁寧に読み進んでいった.
計算はややこしいものだが確かに間違っていないことを確認した.
しかし一般項導出までの計算がややこしい上に答えそのものも複雑だった.
僕はそれが合ってるとは思えなかったのだが,何度確認しても間違えはないので,それが正解としか言えなかったのだ.

あれから長い時を経て…,僕は"僕"を通してミルカさんに出会い,そして母関数に出会い,母関数によるフィボナッチ数列の一般項導出の解法を知った.
この第4章にはすごく感動した.
数学の問題は視点を変えてやることでまた違った一面を見せてくれるのだと.

数学なんか勉強して何の役にたつの?っていう人がいるけれど,
数学は抽象化能力を身につけるのに役立つと思う.
よりよい抽象化を見つけられれば,その分物事が簡潔になってすっきりする.
だから数学を勉強することは,そのための訓練だと思ってる.
もちろん数学そのものが好きっていう前提がないと成り立たないけど.

話しがそれてしまったようなので元に戻そう.
本の内容は3人がお話ししながら数学の問題にチャレンジするっていう感じです.
しかも3人の出会いから別れまでが,甘酸っぱい青春!な物語風になっていてすごい萌えます.
数学抜きにしてこれだけでも別にしていいかもっていうくらい僕はよかったと思います.
それから巻末の参考文献も役に立ちそうです.
数学ガールはとてもいい本ですが,詰めが甘い部分があって,厳密な証明とか
結構飛ばしちゃってる箇所があります.(それでも数学の魅力は十分に伝わるようになってるのはさすがだなぁと感じました.)
参考文献を読むとこれらを補充できそうです.

最後に一言
"ミルカさんのような才媛少女…いったいどこにいるんですか?"